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記事№15 AED(自動体外式除細動器)について

今回は当医院にも設置をしたAEDについての記事です。

1.AEDとはどのようなものか?

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AEDは、正式名称がAutomated External Defibrillator、日本語訳は自動体外式除細動器
といいます。

1. 心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器です。
2. 2004年7月より医療従事者ではない一般市民でも使用できるようになり、病院や診療所、救急車はもちろんのこと、空港、駅、スポーツクラブ、学校、公共施設、企業等人が多く集まるところを中心に設置されています。
3. AEDは、操作方法を音声ガイドしてくれるため、簡単に使用することができます。また、心臓の動き(心電図)を自動解析し、電気ショックが必要な方にのみ電気ショックを流す仕組みになっているので、安心です。
4. 最近では、一般市民の方がAEDを使用して救命した事例も増えてきました。

2.AED設置の目的

わたしたちは、いつ、どこで、突然の病気(怪我)におそわれるか予測ができません。

その不慮の事態が当医院の待合室や診療室内でおこる可能性もあります。
そういった思いから応急手当講習を受講し、基本的な応急手当について学び、AEDの必要性を
認め、AED講習を受講して、このたび当医院に導入することとなりました。

これによって当医院の歯科治療の方針が変わるというわけではありませんが、患者さんを
はじめ来院される多くの方々に「AEDが置いてある」という安心感を与え、同時に地域の皆様に
当医院がAEDの設置場所の一つである事を記憶していただきたいと考えています。

3.なぜAEDが必要なのか?

突然の心停止をおこした尊い命を救うには、そばにいる人が一刻も早い除細動を行うこと
が必要だからです。

突然の心停止の多くは、「心室細動」と呼ばれる心臓のけいれんによります。
心臓がけいれんすると、心臓のポンプ機能が失われるため、全身へ血液を送ることが出来なく
なります。
このけいれん状態(心室細動)から心臓を元の状態に戻すためには、’細動’を’除く’=除細動を
電気ショックをかけることによって行うことが必要です。
ただし、心停止後、除細動を行うまでの時間が1分遅れる毎に、救命率は7~10%も低下し、
5分が経過すると救命率は50%にまで下がります。(下図参照)

ところが、救急車が現場に到着するまでにかかる時間は、およそ7.7分(※)といわれています。
そのため、救急車が到着するまでに、近くにあるAEDを使用して、そばにいる人が、一刻も早い
除細動を行うことが必要になるのです。

※総務省消防庁「平成21年版 救急・救助の現況」より引用。

「AHA心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン2000」より引用
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4.心停止の原因

突然の心停止(心臓突然死)の原因は、心臓がけいれんして全身に血液を送ることが出来なく
なっていまう心室細動によるものがほとんどであり、心室細動に対して有効な治療法はAED
(自動体外式除細動器)のみです。

日本においても心臓突然死で約3万人の方が亡くなっていると推定され、交通事故死よりも
遥かに多い数字です。

心室細動は心臓に疾患がある人だけがなるのではありません。健康な人も発症し、スポーツ中
や子供も起こす場合があります。発育過程の子供は胸郭が軟らかく前胸部へ加わった衝撃が
心臓へ伝わり(野球のボールや肘や膝が胸に当たったりして起こります。)心臓がけいれん
「心臓震盪(しんとう)」を起こしてしまいます。

上図の通り、除細動を成功させるのは時間との勝負であり、成功する確率は1分除細動が遅れ
るごとに10%低下し、10分を超えるとほとんどの人が救命できません。

もし治療が何もされないでいると心室細動は心停止(心静止)へと変化してしまいます

AEDの使い方は3ステップ

①電源のマーク(国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)で定義
された記号)のあるボタンを押すか、取り外し(他社の製品では開閉)タイプのフタをはずす
ことにより、電源が入ります。AEDが作動し始めると同時に、操作の手順を説明する音声
ガイダンスが流れます。

②音声ガイダンスに従い、電極パッドを取り出します。電線でつながった2枚のパッドがあります
ので、パッドに記載されたイラストのとおりに、傷病者の肌に直接貼り付けます。ネックレス等
は除去し、ペースメーカーがある場合には、3cm 以上離してパッドを貼ります。確実に肌に
密着させてください。

③パッドを正しく貼り付けると、AEDが傷病者の心臓の状態の診断を行います。正しい診断を
行うため、傷病者には触れないようにします。音声ガイダンスが「ショックボタンを押して
ください。」と言ったら、傷病者に誰も触れていないことを確認し、オレンジ色に明滅する
ショックボタンを押します。

5.AEDの使用に伴う法的な責任について

業務の内容や活動領域の性格から一定の頻度で心肺停止者に対し応急の対応をすることが
期待・想定される人については、次の4つの条件をみたす場合には、医師法違反とならない
ものとするとの方針が明らかにされています。

1. 医師等を探す努力をしても見つからない等、医師等による速やかな対応を得ることが困難で
あること。

2. 使用者が、対象者の意識、呼吸がないことを確認していること。

3. 使用者が、AEDの使用に必要な講習を受けていること。

4. 使用されるAEDが、医療器具として薬事法上の承認を受けていること。

平成16年6月、厚生労働省の「非医療従事者によるAEDの使用のあり方検討会」の報告書が
取りまとめられ、市民の方がAEDを使用しても法的な責任追及が生じないように整備されました

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AEDは、設置されていればイザという時に安心ではありますが、実際には使わずに済めば
その方が良いに決まっています。しかし、使うに当たっては常日頃から、応急手当始め、AED
の使い方のトレーニングは怠ってはならず、当医院でもスタッフで定期的なトレーニングを積み
重ねてゆこうと考えております。

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