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記事№9 ヘルペス感染の仕組み解明

今月はヘルペスに関する記事についてお知らせしましょう。
みなさんは口唇ヘルペス(写真)のような病気をご存じでしょうか?。

くちびるの周りに赤い水ぶくれができる口唇ヘルペスなどの原因となる単純ヘルペスウイルス(HSV)が、人に感染する仕組みを解明したと東京大医科学研究所の川口寧(かわぐち・やすし)准教授(ウイルス学)らが10月14日付英科学誌ネイチャーに発表しました。

ウイルスの表面にある糖タンパク質の結合する相手が、人間の細胞側の特定のタンパク質であることを突き止めたのです。

川口准教授は「このウイルスはいったん感染すると潜伏感染し、頻繁に再活性化する。従来の抗ウイルス薬は感染を防ぐことはできなかったが、今回分かったメカニズムは、感染を防ぐ薬の開発につながる」と話しています。

HSV粒子の表面にある「糖タンパク質B」が人の細胞側のどこと結合するかが謎だったが、川口准教授らはその相手が「非筋肉ミオシンIIA」というタンパク質だと解明しました。このタンパク質は通常は細胞表面にはなく、HSVが侵入しようとすると表面に出てきます。

表面に現れるのは特定の酵素が働くためと分かり、マウスの実験でこの酵素の働きを薬で抑えると、HSVの感染を防ぐことができたということです。

HSVは唾液(だえき)などを介して粘膜で感染、さまざまな病気を引き起します。日本人の10人に1人は口唇ヘルペスにかかったことがあるとされていて、脳炎は特に病状が重く、後遺症がある場合や死に至ることもあります。


現在口唇ヘルペスの治療は、抗ウイルス薬の飲み薬、塗り薬を使います。ただし、これらの抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑制するもので、ウイルスを殺す作用はないため、神経節にひそんでいるウイルスに対しては効果がありません。したがって、症状が出始めるとき、また症状がでている間が治療の時期になります。

のみぐすりは、ゾビラックス錠200mgを1日5回(つまりできるかぎり4時間ごとに)を5日間服用します。発病初期ほどよく効きます。塗り薬は、ゾビラックス軟膏やアラセナA軟膏があります。1日1~4回7日~14日間くらい塗るまたは貼付します。

今回のこの発見で、感染したことのない人への予防薬が早く開発されると良いと思います。

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