Ȋ֘AgsbNX

記事№4 歯科で使われるパラジウムのお話

 久しぶりの記事となりましたが、今回は金属の話題を取り上げてみました。

現在歯科の健康保険では主に金銀パラジウム合金(金パラ)が使われていま
す。その組成は金12%、パラジウム20%とJIS規格で定められており、他は銀
が約50%、銅が約10%です。

銀は、光に当たるだけでも錆びてくるくらい不安定な金属です。シルバーの指輪
やピアスなどは放置しておくと黒く変色します。純銀自体はさほど問題になりませ
んが、一緒に溶け出す他の金属が問題です。

金パラ合金の機械的性質=硬さは優れており金合金に匹敵しますが、歯科用
合金は金、白金、パラジウムの貴金属が75%以上含まれていないと化学的に
安定性は乏しいとも言われています。そういう点では金と合わせても32%しか
ない金パラ合金は安定性に関しては十分なものではないと言えるかもしれません。

パラジウムという金属自体は原子番号 46 の元素で元素記号はPd。白金族元
素の一つで貴金属にも分類される白金族金属の1つである白金(プラチナ)と同
様、自動車触媒が需要全体の約半分を占めているレアメタルの1種です。

プラチナと対照的に宝飾品需要が大幅に増加しており、高価なプラチナより、安価
なパラジウムへの移行が進んでいて、パラジウム宝飾品を製造するメーカーの増
加、消費者の満足度の高まりを受けています。日本では宝飾品としてのパラジウ
ムは、プラチナ宝飾品との合金で用いられ、プラチナ需要に左右されます。

用途としては自分の体積の 935 倍もの水素を吸収するため、水素吸蔵合金として
利用されます。 加工のしやすさから電子部品の材料としても使われましたが、供
給シェアの6割をロシアに依存しており、価格が不安定なことからニッケルなどの
金属への代替が進められています。

上記の通り歯科治療に使われる合金としての利用も特徴的なものです。その他貴
金属として装飾品にも利用され、ホワイトゴールドの脱色用割り金として利用され
ます。近年、高騰してしまったプラチナ、アレルギーを起こす可能性のあるホワイト
ゴールドに替わって、パラジウムをメインに使用したジュエリーが出始めています。
ただしパラジウムも歯科用貴金属においては比較的アレルギーを起こし易い貴金
属であることが知られています。

また工業的には自動車の排気ガス浄化用の触媒(三元触媒)やエチレンからのア
セトアルデヒドの合成(ワッカー酸化)に用いる触媒など、様々な反応の触媒として
使われており、有機合成分野においては接触還元の触媒として、活性炭に担持さ
せたものが常用されています。

  • 予約、お問い合わせは0257-21-4151 診療予約